考えるタネと物のミカタ

たくさんの物の見方から、考えるタネが生まれて

もっと深く読み込みたいパウロ・コエーリョの「アルケミスト」

なんともファンタジーだし、読んだ時の自分の気持ちとか立場とか、人生のあらゆるステージによって、受け取る内容が違うから何度読み返しても面白い。ストーリーは単純なのかもしれないけど、あるときは「少年」に、ある時は「アルケミストを目指す人」に、またある時は「王様」に、今の自分を照らしあわせて読み進めることが出来る良質な物語だと思う。

アルケミストの原書または英語版に、日本版にはのっていない「プロローグ」が納められているので是非そちらも読んでいただきたい。

あらすじは、こんな感じ。

「アルケミスト」がギリシャ神話のナルキッソスのお話を読みます。ナルキッソスが自らの美しさに見とれているうちに湖に溺れ死んでしまうのだが、この話には先がある。湖が泣いて塩っぽくなっているのを見て森の女神たちは、よっぽどナルキッソスの死が悲しかったんだろうと思う。しかし湖は、ナルキッソスの美しさにはまったく気がついていないという。湖が泣いているのは、ナルキッソスの目に映る自身の美しさを見れなくなってしまったからという。

 

そして、私が読んだ英語版には最後に「リーダーズガイド」が付いている。これはこの本を題材としてディスカッションをするのに役立つし、自身で考えを深めるのにも役に立つので、すこし、ご紹介します。

 

プロローグと本編との関係性について

プロローグにナルキッソスの死についてのお話(湖がナルキッソスの瞳にうつる自分自身を見ることができなくなって悲しむ話)がでてきます。このプロローグは、この本「アルケミスト」におけるサンチャゴの旅の話との間にどんなテーマ性、関係性がありますか?また運命を追い続ける上で、ナルシシズム(ここでは、自己陶酔と訳した方がよいのかな?)の要素があると思いますか?
※プロローグは原版や英語版についています。残念ながら日本語版にはついていません。こちらの記事をご参考にしてください。
 

自然界との繋がりについて

プロローグで湖がナルキッソスの死を悲しむシーンがあります。その後、風と太陽が、愛そして宇宙の意志との関係性、風になる方法について語ります。あなた(読者)は自然界との個人的な繋がりがありますか?川や太陽、花などの自然との会話を経験したことはありますか?(とってもスピリチュアルな質問です。)
 

目的達成の対価について

サンチャゴは旅の冒頭で、彼が見たエジプトのピラミッドにある宝の夢の意味についてジプシーの女性にその解釈を尋ねると、彼女は報酬として宝の10分の1を提示します。そして、次に出会う老人に宝までの道のりについて尋ねると、今度は報酬としてサンチャゴが連れている羊たちの10分1をもらうと言います。夢を実現するためのこれら2つの「支払い方法」はそれぞれ対価が違います。どちらが空頼みでしょうか。あなたの今までの経験の中で、目的を達成するために何かを諦めた、そしてそれが高すぎた例を挙げてみてください。
 
この他にも沢山の題材が含まれています。実際にリーダーズガイドに載っているものだけじゃなくて、自身で考えてみても面白いと思います。
The Alchemist

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