2009年に公開されたアメリカの映画「インビクタス〜負けざる者たち」である。インビクタス(Invictus)はラテン語で屈服しない、という意味だ。
南アフリカの歴史とネルソン・マンデラ
まだ遠くない昔、南アフリカでは白人以外の非白人を人種隔離する政策「アパルトヘイト」が行われていた。1948年に法制が確立されて、1994年までの間、つまり平成6年まで非人道的な政策が法のもとで行われていた。まだまだ最近のことである。
若い時からネルソン・マンデラは反アパルトヘイト運動に参加し、1964年に国家反逆罪で終身刑となり、27年の間投獄された。アパルトヘイトは国際社会から大きな非難を受け続けていたが、南アフリカ国内でその影響が出始めたのは経済制裁を受けた1980代には入ってからとなる。1989年9月に大統領に就任したフレデリック・ウィレム・デクラークはアパルトヘイト撤廃に向けて改革をすることになる。その政策方針により1990年に政治犯として終身刑であったネルソン・マンデラは釈放された。それでもアパルトヘイトの完全撤廃までそれから4年もかかった。
そして1994年、南アフリカ初の全人種参加選挙が行われアフリカ民族会議議長のネルソン・マンデラが大統領に就任した。ここから新しい南アフリカ共和国が始まることになった。
南アフリカのラグビー
この国にアパルトヘイトの時代から人気のあったスポーツにラグビーがあった。当時「紳士のスポーツ」ラグビーをプレイしていたのは白人であり、ラグビーそのものががアパルトヘイトの象徴という存在でもあった。ネルソン・マンデラが大統領に就任した後、このスポーツをどうするかについてこの映画の中の一幕で触れている。
白人のスポーツを取り上げれば、彼等は仲間とはならない。それよりも、今はどんな小さなブロックでも国家再建に使わかなればならない、と言って、ラグビーというスポーツだけでなく、ユニフォームも、マークもすべて残した。1995年、南アフリカ共和国はラグビーワールドカップを誘致し、そして決勝で競合ニュージーランドをくだし全ての人種の混合したチームで優勝をすることになる。
スポーツがもつ力
ラグビーを始めスポーツにはそういう力がある。国旗を掲げれば右寄りだなんだとそういう目で見られるが、ことスポーツで他国と争う時には、「君が代」を歌う時にも自国の誇りや一体感を感じる。
2019年ラグビーワールドカップが日本で開催される。日本の再興に向けてスポーツの力を信じてみたい。
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