考えるタネと物のミカタ

たくさんの物の見方から、考えるタネが生まれて

【エッセー】私にとっての魔法の言葉は「大器晩成」だった。

 誰しも生活の中でうまくて、なんで自分だけと思うことはあるでしょう。

 頑張ったことが報われなかったり、自分が取り残された感じがして周りの人たちの成功を心から喜べなかったり、またそんな自分に嫌気がさしたり。それで、塞ぎこんでやる気がなくなって、と悪循環に陥ってしまう。 

 わたしには魔法の言葉があった。「あんたは大器晩成型だからね」。

 小さいころよくじいちゃんに言われた言葉だ。わたしの両親はともに背が高いのに、小学校では一番背が低く運が良くて前から2番目(そもそもなんで背の順だったんだろう)。そんな私に投げかけてくれた言葉だ。今はまだ時期じゃないよ、これから時代がくるよ。と未来の自分に希望をもてる不思議な言葉だと思う。

 でも、大器晩成の「晩」っていったいいつなんだろう、そして「成」ってどういう状態なんだろうと、大人になってふと思った。周りはもう既にほぼ結婚が完了している。仕事もそれぞれ成功している人が多い。そんな中で、わたしは独身だし、仕事も成功しているとは言えない。

 周囲の幸せそうな彼らを見ていると一つの共通点があった。それは「人生の目的を見つけることができた」ということである。それは、結婚した相手を幸せにすることであったり、子供の将来を作っていくことであったり、仕事における社会的意義であったりするが、それぞれはしっかりとした人生の目的だ。そうすると、大器晩成とは、人より少し遅く、人生の目的を見つけることである、と言える。 

 わたしにとっての人生の目的とはなんだろう。まだ見つけることができていない。