考えるタネと物のミカタ

たくさんの物の見方から、考えるタネが生まれて

物を整理したいと思ってはや20年。本当に振り返っている暇なんかないはず。

 自分の道具を整理する。会社の机の上や引出し、家には多くの物に溢れている。かといって、日々使うものは大抵が限られていて、どの分野でも一つや二つだ。洋服もそんなに必要ないし、かばんも要らない。手元にある物達を大切にせずに、目に映る新しいものばかりを買い求めていた過去が悔やまれる。昔に戻れることなんかないから、今から手元の物たちと向き合うことにする。

 そのように月に1回位は思っているのだが、いつも手に付かないのは何処から初めていいかわからないからである。物の多さに圧倒されてしまうのである。物を整理する時は捨てることから始める、と聞いたことがある。今日は初心に戻って、捨てることから始めることにする。部屋毎に、更に部屋を分割して一つ一つ潰していくことにする。今日は差し当たり、今の机の下に目に見えないようにおいてある者たちを片付けることにする。

 私の場合捨てられない物の殆どが思い出にまつわるものである。きっと10年後にこれを見たら懐かしいだろうなあ、とどんな生活をしているかもわからない未来に思いを馳せてしまう。こうやって、20年も暮らしてきた。正直過去を振り返っている時間なんかない。懐かしんでいる暇などないのである。だから思い出を燃料に、本当に物理的に捨て去って、未来に進みたい。私は今を生きている。物を整理するというのは本来、こんなに体力を使うものではないはず。過去を捨てない積み重ねが、今を生きにくくするなんて思ってもみなかった。ゴミ箱への一投が未来への一歩だ。