考えるタネと物のミカタ

たくさんの物の見方から、考えるタネが生まれて

ブルネロ・クチネリに学ぶ地域を守る働き方

 ブルネロ・クチネリは最高級カシミヤブランドでニットを中心に展開をしている。高級ブランドとて有名だが、私はこの会社の社長であるブルネロ クチネリ氏の経営哲学がとても好きだ。それは「私たちは歴史を通過する人間。後に来る人たちのために生かされている。」というもので、同じイタリアのレオナルド・ダ・ビンチの言葉「君が手にふるる水は過ぎし水の最後のものにして、来る水の最初のものである」にも通じる。イタリアにはこういった思想があるのだろうか。

 ブルネロ・クチネリのこの経営哲学は社業を通して行っている様々な活動に表れている。ニット技術などを教える学校を設立したが、費用は一切とらないという。しかも学校を終えた後はどこに就職してもよいという。すべてイタリアの伝統を守るためにおこなっていることだからだそうだ。

 この会社があるのはイタリアの小さな村で、ここにある城を買い取ってそこを本拠にしている。都会をはなれ田舎に住むというのは、都心部の人口集中を是正する、UターンIターンを奨励して地方の人口減少に歯止めをかけるという、2014年夏頃からはじまった地方創生の大きな展開例でもある。元来日本人が得意と思っていた人間や動物、土地の共生の上に行う経済活動を思い起こさせてくれた。