考えるタネと物のミカタ

たくさんの物の見方から、考えるタネが生まれて

「吾輩は猫である」の深い深い言葉の数々

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 夏目漱石さんによるこの作品は、ほとんどの日本人は知っていると思われるほど有名でしょう。しかし実際に読んだことのあるという方は意外と少ないのではないでしょうか。猫目線で人間社会を風刺を効かせてコミカルに描いたこの作品には、人間を真に捉えた表現が数多く登場します。そのいくつかを備忘録として記しておこうと思います。

 

「吾輩は猫である」から名文紹介

空気の切売が出来ず、空の縄張が不当なら地面の私有も不合理ではないか。

理は此方にあるが権力は向うにあると云う場合に、理を曲げても一も二もなく屈従するか、又は権力の目を掠めて我理を貫くかと云えば、我輩は無論後者を択ぶのである。

金を作るにも三角術を使わなくちゃいけないと云うのさ - 義理をかく、人情をかく、恥をかく

抑(そもそ)も恋は宇宙的の活力である。

贅沢は無能の結果だと断言しても好い位だ。

昔から利口な人は裏口から不意を襲う事にきまっている。

人間の定義を云うと外にもない。只いらざる事を捏造して自ら

苦しんでいる者だと云えば、それで充分だ。 

人間にせよ動物にせよ、己を知るのは生涯の大事である。

僕の考えでは人間が絶対の域に入るには、只二つの道があるばかりで、その二つとは芸術と恋だ。

この作品が出来てから1世紀経ちますが、世の中は大きく変わっても人間の根本はかわらないものです。と猫が言っています。

吾輩は猫である (新潮文庫)

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