私たちは「ニッポン(日本)」と呼ぶが、英語では「ジャパン(Japan)」という。同じように、現地の人たちが使っている国名と、海外からの呼ばれ方が違うことは大変多い。現地語ではない言語で呼ばれる国の呼称を「エクソニム(exonym)」というそうだ。海外の国々の名前を見てみると、現地語の国名、英語の呼称、日本での呼称がそれぞれ違うことも非常に多い。
出典:日経新聞
グルジアではなくジョージアに変更
日本では「グルジア」と呼んでいた国が2015年4月14日の日本国内の法改正で「ジョージア」と呼ぶことに改められた。しかし、現地では上記画像でも分かる通り「サカルトベロ」だ。外国の国名・地名の呼称を改めるには外務省によると3つのポイントがあるという。1.相手国との関係。2.他の国や都市との混同の恐れがないか。3.世間に浸透しているかどうか。ジョージアの件はもともと、現地国自体がロシア語由来の「グルジア」の呼び名は辞めたいという働きかけから始まって呼称変更に至ったそうだ。
現地の呼び名で呼びたい
私個人的な考えでいうとやはり変えるのであれば、現地の人々が呼んでいる名前で呼びたい。東ティモールという国がある。現地の言葉テトゥン語での正式名称は「Republika Demokratika Timor Lorosa'e (レプブリカ・デモクラティカ・ティモール・ロロサエ)」という。「ロロ」は「太陽」、「サエ」は「出る」という意味で、「ロロサエ」は「太陽の登る」という意味がある。即ち「東」なのであるが、単純に方角を示す「東」と表すだけでは真の意味を含められない。これは私たちも同じ事を体験している。日本がそうだからだ。聖徳太子(今は厩戸皇子と教えられるらしい)が隋の国に送った文書の中に「日出処天子」という表記がありこれが転じて、「日本」という国名が出来たと言われている。
エクソニム(exonym)に対して、現地に住んでいる人々の言葉で場所の名前を示したのが「エンドニム(endonym)」。これはその表記で示した地図だ。
出典:Endonym map
現地語での国名には国体を表す確かな意味が含められている。だからこそ、相手に寄り添うことを誰よりも得意とする私たち日本人は、ジョージアを「サカルトベロ」、ノルウェイを「ノルゲ」、フィンランドを「スオミ」と現地の言葉で呼んであげたいと思うわけである。