昨夜は久しぶりに夢をみた。夢を見たことを覚えている。
昨晩の夢:出世したSの撮影現場
その建物は小さいビルだった。昔お付き合いしていた人とその建物に入り、1階入口奥のエレベーターへと歩いている。途中右手に人だかりができている。見やるとテレビか写真か分からないが、何かの撮影の合間にスタッフと談笑している長身のガッチリしたモデル体型の男がいる。刺繍の入ったジーンズに、赤かオレンジ色の文字がプリントされた白いTシャツを着ている。その男を私はよく知っている。昔の同僚Sだ。
撮影現場の部屋の入口付近には見物の人だかりができている。よく見ると彼らの事もよく知っている。Sと彼らと私は、1年前まで共に汗を流した仲間だった。彼らは仲間同士で声を掛け合ってSの撮影現場に来たようだ。
有名になって偉くなった昔の仲間だった男Aの仕事現場にくる心境なんて、大方俺はこの有名になった男を昔から知っているということを誇示するために来ているのだろうと思う。どうせSNSに「◯◯の撮影現場に来ています。◯◯頑張れ!」とか「◯◯!やっとここまで来たな!」って、アップするのだろう。私はそういう投稿をする人の気が知れない。
私が、その撮影現場に足を踏み入れると、見物していた仲間達が声をかけてくる。「おう、K。来たのか。」言っておくが、ここは私の地元で、Sを含め彼らの地元ではない。「来たのか」というのは本来私のセリフなのである。声をかけなかった私を見て気まずく思って適当な言葉を発したのだろう。私が彼らに声をかけられなかった理由、それはたぶん一つしか無い。私が所謂出世コースを外れたからだ。お金や名誉が無くなった人間から離れていく人は多い。彼らも同じだった。彼らが私の扱いに困っていると、歯に衣着せぬ物言いをするNが眉をひそめながら声をかけてきた。「Kも少しはSを見習えよ。」何を見習えというのか。金か?ファッションか?と無言で反論していると「だからお前はいつになってもそうなんだ」と追い打ちをかける。私の気持ちがどんどん沈んでいく所で、目が覚めた。
思い出せない夢はなんのためにある
これらの夢の記述は、朝起きてすぐにメモをとったものである。夢というのは思い出そうとする事が難しい。視界の端に埃みたいなのがあって、それを見ようと目線を向けると、その埃自体も移動してしまって、結局埃には焦点が合わない、ということがある。夢の記憶も同じようなものではなかろうか。記憶の焦点が夢に合わないのである。思い出そうとすると、急にぼやけてしまう。でもまたふとした時に、記憶の片隅にでてくる。
思い出せない夢を人が夢を見る理由がわからない。きっと必要があって夢を見る機能が人間に備わっているのだろう。しかしその理由とは何だろう。思い出せない夢というのは何かの進化の過程なのか、それとも進化過程のゴミなのか。人ひとりの成長ではなく、人類としての成長に「夢」という機能がいかに必要であるかを考えるきっかけになった。
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